「民法改正の真実」

イメージ 1


おはこんばんにちわ。
ノンアルコールビールなどを飲んでいるミラーであります。

今日は、たまの法律ネタ。
債権法改正についての本であります。
以前一度、加藤 雅信教授の本について取り上げた記憶があります。基本ラインとしてもそれと一緒でこの本も債権法改正反対の本。

この本を書いた鈴木さんという人は弁護士さんで活躍している人のようです。債権法改正についていろいろと影響が予想されることをあげ反対のようです。
この前紹介した加藤先生の本に出てくる論点より精緻に展開されているのが、改正された時の影響。ようするに、債権法が改正されてしまうと、いままでの判例でどれが生きているのか死んでいるのかが判定できず、また、契約書の作り直しが必要になるなど大変な混乱が生じるとこの本の著者は主張されています。

まー、たしかにそういうこともあるでしょう。
かなり賛成できる主張です。
そこまでのデメリットを上回るメリットが債権法改正にはあるのでしょうか。
この本の最後では、TPPと同じく債権法改正もアメリカの基準にあわせるための内容ではないか、担当部局たる法務省民事局はそういった明確な意思をもって会社法改正とか一連の司法改革、立法活動を推進しているのではないか。
その担い手は、裁判所から出向し、局付検事からはじまり、民事局の課長、官房秘書課長、司法法制部長、民事局長と法務省の枢要なポストを務めた某T最高裁判事であると断じています。
この本では、T判事が裏で対米追随の元締めみたいな書かれ方ですが、私からするとその点についてはもう少し分析が必要な気がします。

たとえば、民間競売については、法務省HPによると「平成17年3月25日閣議決定の「規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)」において,「競売手続は,実体法上の権利の実現のための必須の執行手続の1つであり,我が国では,専ら裁判所によって実施されているが,米国では,裁判所による司法制度に加え,民間競売制度が広く定着し,司法競売に比して安価で迅速な手続きであると評価されている。したがって,我が国においても,米国その他の諸外国における民間競売制度についての調査及び我が国の競売制度の改善策として取り入れるべき点がないかについての検討に着手する。」とされたわけです。
競売制度研究会というのができましたが、検討しただけで、その後なんともなっていません。
この会議の議事録をみると当局としては、明らかに「民間競売を日本では導入しない」ことを当初から企図していたことがメンバーの人選や議事の進め方から推測できます。会議の最後にその研究会の中の民間競売推進派は辞任してしまいます。
もし、事務当局が完全な対米追随であれば民間競売こそ推進されてしかるべきですが、そうなっていません。
なんか、たんに対米追随かどうかを超えた行動原理が当局にはあるような気がします。その部分の解明がまたれます。
いずれにせよ、債権法改正は「誰が得をするのか」ということが不明なものです。

民法学者の中でも慶応の池田先生とか、東大でも河上先生とか広瀬先生とかが債権法改正については懐疑的のようです。
ましてや経済界のなかでは、経団連の阿部さんという人は債権法改正について「学者の野望」と名付けているそうです。言い得て妙でありましょう。

改正の中心を担っている法務省経済関係民刑基本法整備推進本部参与内田貴先生は元T大の先生。
私は、一応先生の教え子のはしくれ(はしくれのなかのはしくれ)であります。
いかにわが師といえども、なっとくいかないものはなっとくいかないというべきでしょう。

大義親を滅す。引き続き微力ながら債権法改正についてはその問題点を指摘していきたいミラーであります。