「60年安保 メディアにあらわれたイメージ闘争」

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ということで、今日は6月15日。
1960年の6月15日に国会に突入した全学連主流派の部隊と警官隊が衝突、その混乱のなかで、東大の樺美智子さんが亡くなってしまった日です・・・・。

50年もたってしまっているので、最近は話題にあまりなりませんが、左翼にとっては記念日で、いまでも6・15のデモというのはやっていると思います(だいたい、動員の関係で、一番近い休日にデモを設定している場合が多い)。

まー、安保闘争について書いた本は一杯出ているのですが、だいたい、左翼的な観点から運動を論じた本か、体制側から「極左学生の暴走」みたいなことを書いた本か、純粋に政治過程を論じた本か・・・といったパターンが多い気がします。

この本は、メディアの動きを中心にまとめているという意味で新味もあり、大変有意義な本です。書いた方は毎日新聞の大井さんというかたで、1962年生まれなので、実際には安保世代ではないのに、こういった本をまとめているという意味で立派な方です。
たんねんにメディアに現れた文化人の発言をまとめていてあらためて勉強になります。
どうしても私のような人間は、60年安保について知ろうというと当時の左翼の側の文献を読もうと思ってしまうのですが、それでは、一般国民がどう思っていたのかを知ることができないわけです。安保闘争の国民的広がりを考えるとこういった一般国民が読むメディアに現れたイメージの研究は実は重要だったとこの本を読んではじめて自覚した次第です・・・。
6月15日以降のメディアの動きについても反省的にまとめていることが立派です。
6月17日の新聞に「7社共同宣言」というのが載ります。産経、毎日、東京、読売、東京タイムズ、朝日、日経の7社が「暴力を排し議会主義を守れ」という声明を出すわけです。昨日まで、岸政権弾劾といっていた新聞もあったのにてのひらを返したようです。

この本の著者の大井さんは「マスコミの政府批判に呼応する形でデモが行われ、それが広がると同時に、一部が過激化していたのである。市民がマスコミの豹変ぶりに憤慨したのも当然である」とおっしゃっています。

あらためて、メディアの役割をかんがえなきゃいかんと思うとともに、樺さんに謹んで哀悼の意を表しつつ今日はもう寝ます。