「国鉄を企業にした男」

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ということで、今日会社に出てみると「休み中は電気が通っててよかったね」とか「そこのコンビニでおにぎりが入荷していた」とか「今朝は結構電車の本数が多かった」とかほとんど戦時中のような会話です。そのうち学童疎開とか配給制になるのではないでしょうか・・・。会社の近くのコンビニでは夕方は水を買う行列ができていました・・。


それはさておき、今日は、最近でた国鉄の本。片岡謌郎(かたおか うたろう)さんという方の伝記です。

明治二十七年東京に生まれ、大正九年東大独法科卒業、鉄道省に入り、昭和十四年国際観光局長から鉄道監察官、交通営団理事を歴任、戦後は、財団法人運輸調査局を創設されて理事長もされたそうです。
たんに鉄道マンにとどまらない幅広い活動でしられ、東亜交通学会など、交通に関する研究者の組織や温泉協会と鉄道弘済会といった組織を設立したことでも知られています。

あらためてこの本を読んで勉強になったのは、戦後の国鉄の創設のことであります。
片岡さんは、国鉄を独立した企業体として、運賃をある程度フリーに決められたり、資金を自主的に活用したり(鉄道に関する銀行の創設まで計画していたそうです)という制度を考えていたそうです。理解のある学者(行政学の蝋山先生などのお名前が出てきます)。しかし、やっぱり、政府、国会の強いコントロールに服する制度として国鉄ができたそうです・・・。

まー、国鉄=親方日の丸と思っていたのですが、半世紀以上も前にこういった考えの人がいることに驚きました。

大震災の中、やはり、鉄道の意義が大きく見直されているなか、片岡さんの業績を研究し、世に問うことにはこれからの鉄道を考える上でも大きな意味があると思います。

その意味で、この本をお書きになった高坂さんという方には敬意を表する次第です。

そういえば、この片岡謌郎さんというかたは、ローマ法の片岡輝夫先生のお父君だそうです。片岡輝夫先生というと、いまの木庭先生の前任者の先生だと思うのですが、あんまりおからだがの具合が良くなくて、そんなに論文とかは多くないものの「すごい人だ」といろんな先生から聞いたことがあります。

ということで、テレビでは、原発についての報道が多いのですが、鉄道関係者も復旧に向けて日々懸命に努力されていることに感謝しつつ、一日も早い鉄道の復興を祈り、今日はもう寝ます。