さぬき市代表質問問題

というタイトルだけではよくわからぬと思います・・・。

実は、わたしは、香川県さぬき市というところの生まれなのです。
田舎ですがよい町です。昔は志度町といっていたのですが、町村合併でひらがなのひねりのない自治体名になって多少いやではあるものの、郷土として愛しているものです。

しかし、今般、新聞をみているとこういった記事に接しました。


要するに、さぬき市の保守系の会派2つが、代表質問をしなかったということなのです・・・。代表質問をする資格があって、その2つの会派以外には代表質問ができないようです・・・・。

まー、代表質問をせずとも、一般質問はいくらなんでもしたのでしょうが、産経新聞さんには、「職務放棄」とまで書かれています。

わたくしもこれを読んで、さぬき市に生まれたことを恥ずかしく思いました・・・・。

まー、そういった任務放棄を平然とする保守系の市議を弾劾することは当然重要ですし、多くの人がやっているようです。(わたしもこういう市議は歳費を返上したほうがいいと思う)

やはり、法学徒としては、「なぜ、かように地方自治が腐敗・堕落をするのか」ということを法制度との関係で考えねばなりません。

そこで、ふと思い出したのですが、中学校の公民の授業で、「地方自治は民主主義の学校」と習ったきり、地方自治について真剣に勉強する機会はあんまりなかったわけです。

一応私は大学の法学部を出ているのですが、地方自治法についての講義はほとんどなかったと記憶しています・・・。たしか、行政法の第三部というのがあって、この講義は行政法の組織法の講義なのですが、一部、自治体の組織について触れられる程度だったと思います(当然ミラは-一回も・・・)。

まー、ミラーが疑問に思ったのは、国会と内閣の関係は議員内閣制なのに、地方自治体は両方、住民による選挙がある(最近はやりのことばでいうと二元代表制)これはなぜかということであります・・・。

まー、自治体においても首長の不信任をやった場合、辞職するか、議会を解散するとか、そういった首長と議会の対立関係が想定されています(このあたりについては、俵静夫『地方自治法[第3版]』(1975)を参照しました・・・。一応写真で紹介)
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まー、これだけでは、上の疑問に答えられないので、いろいろと文献を渉猟。

発見したのが、渋谷秀樹教授の「長と議会の関係のあり方-一律二元代表制を憲法は要請しているか 」(都市と ガバナンス14 号25頁(2010 年 9 月))

渋谷教授は立教のローの先生なのですが、もともとは小林直樹先生の弟子だそうです。それだけで立派な先生であることがわかります。

この論文でも憲法第8章の制定過程についてお書きになっています・・・。

まー、93条2項のように、長を直接選挙で選ぶというのが条文として入った経緯についてお書きになっています。

「つまり、この制度は、戦前の大臣の議会解散権に由来するもので、あくまで議会不信を前提として発想された制度であり、首長の民主的正統性を直接の根拠とする制度としては当初考えられていなかったのである」

とのことです。

これを読んでミラーが思うに、国政レベルではある程度政党政治が戦前から根付いていたので、議員内閣制でもいいんじゃないか。しかし、地方政治は、戦前は未熟だったので、長を議会から選ぶのでは、民主的じゃなくなるのではないか。だから長も選挙したほうがいい
という考えがあったのではないでしょうか。(渋谷先生の論文の解釈を私が間違っているかもしれないことは申し添えます)

今度のさぬき市の事態は、憲法立法者のこの議会不信をあらためて裏付けた事態のような気がします・・・。

60数年たっても、日本の地方自治が根付いていない(すくなくともさぬき市においては)恥ずかしく思い、今日はもう寝ます。