武谷三男先生「原子力発電」

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ということで、いま一番気になっているのが、原発です・・・・。

なんか、今日も水素による爆発があったようです。まー、「原子炉格納容器と圧力容器は健全」との政府の発表ですが、心配は募ります。

原発について、昔読んだ名著がこの本。

武谷先生は、1911年生まれ。京都帝大のご出身で、戦時中は理化学研究所で原爆の開発の研究にも従事されていた先生です。

まー、もともと、学生運動をやられていて、治安維持法でつかまったこともあるようです。立派なことです。

戦後先生は、原発に対して批判活動を展開されます。この本は1976年に出された本ですが、あらためて読み返してみると今日でも通用する指摘をされています。

そもそも今問題になっている福島第一原発の一号炉は営業運転開始が1971年。先生が批判をされていた当時からある原発がまだ現役なのですから、先生の批判は今日的にも意味のあるものと思います。

先生は、今回話題のECCS(緊急炉心冷却装置)があるから大型化しても大丈夫という意見についても批判をされています。

「ECCSを唯一の頼りに大幅なスケール・アップをしてきた原子力発電は、肝心のECCSの有効性の実証が果たせぬまま手づまりの段階となっている」という部分があります(同書130頁)。

先生は大地震、大津波という今日の事態でECCSなるものが、全く作動しなかったという今日の事態を想定されていたような気がします・・・。

先生は、原子力平和利用の三原則として「自主・公開・民主」を提唱したことでも知られます。
今となっては、本当にそれでいいのかということを考えねばならないと思います。どんなに、その原則にそっても労働者、市民を犠牲にする事故はなくせないのではないかと思います。

今回の事故で被曝されたり怪我をされた方の一日も早い回復をお祈りしております。