北野弘久先生「消費税はエスカレートする」

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ということで、たまに税金の本。北野先生は租税法の先生で、もともと確か、税務署の職員で、苦学力行し、そこから早稲田の大学院などで学ばれ、日本大学で教授をされていました。残念ながら、先月おなくなりになってしまわれました・・・。

この本は、消費税法が施行された1989年に書かれています。

先生は、当然、租税法学者として法律と良心のみに従い消費税に反対の論陣を張ったわけです。

で、その反対理由ですが、たんに税金の技術的な問題ではなくて、憲法から、ときおこしていて、応能負担の原則とか申告納税権の法理に反するというところから説き起こされています・・・。

税法というとどうしてもミラーなどは、「ひたすら細かいことが規定してある法律」と思いがちですが、この北野先生は、憲法から説き起こされていることが立派だと思います。

そういえば、いちど、駒場でわたしがさまざまな活動しているときに講演会に講師として来てもらったことがあります。たぶん、「日本の財政と憲法」みたいなテーマで講演してもらったのだと思います。

そのときいわれたのが、憲法の後ろのほうも実は平和主義についての規定。たとえば、予算単年度主義というのは戦時中の反省を踏まえ、戦争をしないためのものだ。政府はそれを後年度負担という仕組みで骨抜きにしていてけしからんみたいな話をされていました・・・。

先生のような姿勢の租税法学者がいないことが今日の財政状態を招いているような気がします・・・。

そういえば、この本は、まさにそのタイトルにあるとおり、「消費税はエスカレートする」ことを20年以上前に予言されているのであります。
北野先生は、某日本に在住する日本国籍でない方々の団体の相談役的なことを務められていたことでも知られています。それゆえにいろいろ右翼からは批判されたこともありました。
全面的に当該団体およびその方々の祖国を支持できないのは当然ですが、やはり、先生としては、差別されている人々に対して、なんとかせんといかんと思っていて、それが法学者としての使命とおもっておられたのだと思います。

先生のご冥福をいのりつつ今日はまうねます。