羽入辰郎氏「学問とは何か―「マックス・ヴェーバーの犯罪」その後―」

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ということで、私の感想としては、読むと世の中には深くて暗い川が流れていて、大学もその例外ではないことがわかる本です。かなり暗い気持ちになります。

羽入さんというかたは、「マックス・ヴェーバーの犯罪」という本を数年前に出して、マックス・ヴェーバーについて批判をした人です。私はあまり詳しくはありませんが、内容というよりは、学問的態度、誠実性に関する批判だったようです。駒場社会学を教えていた折原教授が、その本について批判をし、論争になったようです・・・・・。

この本も、折原教授批判という意味合いが強い本のようです。本論のヴェーバー論については、理解する学力も、いわんや紹介する学力もないのですが、エピソードとしてこの本で紹介されている事件のことについて書きたくてあえて紹介します。


ときは、1984年までさかのぼります。この羽入さんははえあるT大学教養学部文科三類に入学されるのです。羽入さんは社会人を経て入学されたそうです。
いまはしりませんが、当時は、1年生のクラスに対応する2年生のクラス(上クラスという)の学生の有志(オリタ―という)が引率して歓迎のために合宿にいったのです。
ミラーのときもそうでしたが、当然夜は飲み会になります・・・・。
で、羽入さんのクラス=文科三類5組B(Bってドイツ語未修クラスだっけ・・・・)の合宿は、山中湖畔で行われ、羽入さんも1年生として参加されるのですが、2年生のオリタ―が酔っ払ってボートに乗り、山中湖で何人もなくなるといういたましい事件が起こったのです。

わたしも1991年に入学したとき、「そういった事件を起こさないように」とオリエンテーションで聞いた記憶があります。当時は「常識のないT大生の暴走」みたいな感じで報道されたので覚えているかたもいるはずです。

そこまではしっていたのですが、この本では、その時、羽入さんが救助のために努力したことがっかれています。

羽入さんはなぜ、ボートが転覆したのかなどいろいろ究明しようとしたそうですが、上クラスからいろいろ圧力をかけられたみたいなことが書いてあります・・・。
羽入さんが怒りを込めて書かれていますが、上クラスにはある党派の人がいたらしく、事故のよくじつ、まだ行方不明の学友がいるにも関わらず、自治委員選挙だけはやったようです。

自治会における多数派工作のほうが大事なんだろうと羽入さんは弾劾されています。悲しいことです。


まー、そのあと英語のA教授など教授のなかにも事件の真実についてなるべく隠ぺいしようとした教授もいたことを羽入さんは弾劾されています。


羽入さんは、この事件を大学というものがいかに腐敗しているかということの例として取り上げたのだと思います。真実をかたることのなかったオリタ―が母校の教授になってしまっていることに対して批判的なようです・・・・。

わたくしはちょっとちがった観点で、「大学に受かったからといって羽目をはずしてはいかん」ということを思いました。この事件、最近の成人式で暴れる新成人につながるものを感じます・・・。

よく、4月になると、「一気飲みをした学生が急性アルコール中毒で・・・」みたいな報道に接します。確かに大人なんですからそれは本人でなんとかせんかいとも思いもしますが、大学としても人格教育は大事です。こういった事件でなくなった方のご遺族の話を学生に聞かせるなど、そういった教育も必要だと思うミラーであります。

この事件でなくなられた方のご冥福とこういった事件が今後なくなることを祈念いたします。