水原明窗先生「朝鮮近代郵便史 1884-1905」

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水原先生といえば、子どものころ切手を集めていた人は、
必ず聞いたことがあるはずです。当時、ジュニアの収集家
のための切手収集入門みたいな本を多く出されていました
当時の、財団法人日本郵趣協会理事長であります。
立派な人です。

当時は、「こういった切手収集という趣味だけで生活でき
る人」になりたいと思っていたものですが・・・。

まー、ようするにいわゆる「日韓併合」前にあった大韓帝
国の郵政の実情と、それが、日帝に収奪されていく様子を
当時の郵便資料をもとに描きだしたものです。
前半にコレクションの写真が収められており、大変貴重な
ものです。

水原先生の立派な点は「切手をいろいろ集めたから本をだ
した」というレベルではないことです。この本のあとがき
にほんの出版のきっかけが書かれております。

要するに1992年に当時の郵政省が、「郵便創業120
年の歴史」という本を出したのです。水原先生は、その本
日本郵便が朝鮮や中国を郵便事業についても侵略したこ
とがその本には載っていないということで、この朝鮮近代
郵便史を出版したようです。
軍事や金融、経済についての朝鮮半島への侵略についての
研究はあるが、それらと同じく国家作用の中心をなす郵便
について朝鮮半島への侵略の歴史がないことについてこれ
ではいかんとお思いになったそうなのです・・・。

まー、この本を読むと、国の主権にとって郵便という制度
がいかに大事か(特に昔は電話も放送もなかったから)とい
うことがうかがいしれようというものです。

やっぱり、郵政民営化は今一度考えなおしてもよいのでは
ないでしょうか・・・。
水原先生が生きていれば、絶対に反対したでありましょう
・・。