「マルクスは生きている」

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ということで、今日はこの本。といっても、「死んだのはニセモノでひそかに落ちのび、まだ南米で生きている」みたいなオカルト話の本ではない(あたりまえ)。

まー。ようするに、今日的にもマルクスの思想は意味をもっているということをいいたい本なのです。著者は、不破哲三共産党議長(以下、「不破前議長」といいます)。
常連の読者の皆様はご存知のとおり、わたくしは学生時代からしばらく、共産党とは敵対するグループの影響下にずっとあったわけです。
しかし、
実は私は、不破前議長については、そんなに悪い印象がないのです。私が大学時代属していたサークルの先輩の中には、高校時代から色とりどり(黄色以外)のヘルメットをかぶって活動されていた方も多かったのですが、私などは高校時代は、新日本出版社から出ている不破前議長の「社会主義入門」とか「自然の弁証法」とかの入門書を読む、ごく普通の高校生だったのです(いまから考えるとそれはそれで普通ではないような気がする・・・)。
大学に入って、なぜか入ってしまったそのサークルの先輩から「不破はスターリン主義だからよくない。自然弁証法をまなぶのであれば、まずは、エンゲルスをちゃんと読んで、武谷三男梯明秀とかそういうのをちゃんと読んだほうがよい、経済学は、宇野弘蔵をよんだほうがよい。当然、新日本出版社スターリン主義の巣なので、その本は即時廃棄すべきだ」といまから考えたら、スターリン以上に強権的なアドバイスというか指令を受け、いつのまにか、不破前議長の本を読まなくなり、まー、より左の方に私はずれていってしまったわけです。

まー、だから、なんか、今でも高校生時代によんだ不破前議長の本はある程度わかりやすく、国会の論戦とか今の社会状況に照らして書いてあって勉強になった記憶が残っているわけです。

まー、ということで今回の本。

今の派遣切りという問題から、相対的剰余価値の生産とかを説明していくくだり、要するに経済学について書いてあるくだりは、確かに、マルクス資本論を書いた時代と形を変えながらも、本質はいっしょでマルクスの思想は息づいているなと感じたのであります。
ただ、一点思ったことが。最初に書いてあるのが、唯物論者としてのマルクスについてなのであります。
ようするに、物理学の進歩を見ても、観念論と唯物論の戦いに唯物論が勝利したことは明らかであってマルクスの先見性はすばらしいみたいなことが書いてあります。まー、ようするに量子力学がどうとか、素粒子論がどうとかいう話です・・・・・。
まー、不破前議長は物理学科ご出身だからどうしても書きたかったことなのかもしれませんが・・・。
ちょっと、いきなりそういうテーマから入るととっつきにくい感じを覚えました。
ということで、昔、マルクス経済学を勉強していたとか、ちょっと左翼だったという人には大変お勧めできる本なのです。
まー、あんまり、唯物論とか弁証法とかに関心がない方は、中盤以降からよんだほうがとっつきやすいでしょう・・・。

まー。それにしても、不破前議長は今年79歳。今までの蓄積があるとはいえ、新たな本を出すという努力に敬意を払うしだいです。
やっぱり、派遣切りとか不況とかいろいろ社会の矛盾を実感しているわけです。その問題を指摘することはむちゃくちゃ大事なことですが、
それに加えて、問題の原因と解決の方向を指し示し、政治的な意識を高めていくことが、共産党の責務なわけです。
まー、いまやわたしは政治とは関係がないので、みなさまには頑張ってほしいと陰ながら祈るばかりです。