遠藤比呂通先生「人権という幻」

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こんばんわ。
というふことで、今日は、憲法記念日であります。
一国民として、日本国憲法の意味をふかぶかと考え、人権や我が国民主政の行く末といったことについて、考えを致すべき日であります。

で、ひさびさの憲法本。


この本の著者の遠藤先生というかたは、樋口先生の弟子で、1960年生まれ。1984年に東大法学部助手、1987年には、東北大学法学部助教授と将来を嘱望されていた憲法学者でありました。そのまま学者の道をあゆまず、1997年に弁護士になり、大阪の西成で弁護士として活動されています。

この本の英語のタイトルは、「A Vision Named Human Rights」となっています。幻という言葉を必ずしも否定的な意味で使っているわけではなく、私たちを実践に駆り立てる一つの理想として使っているようです。
この本では、先生の弁護士としての諸活動が内容に反映されています。
たとえば、区分所有法の70条にある一括立て替え決議によって、終の棲家を追い出されてしまった人の話では、区分所有法70条の立法経緯についても触れてあって、法制審議会でも大した議論のないまま、業界の圧力のみで居住権を制限する法律ができてしまった様子が描かれています。

この本のサブタイトルは、「対話と尊厳の憲法学」となっています。私の粗雑な理解では、先生の弁護士としての活動は、「問答無用」として国から排除された人の人権を回復するということで一貫しているようです。国籍法についての考え方などでは、必ずしも私は賛成できな部分もありましたが、対話によってそういう問題を解決していくことは大事なことでしょう。
あらためて思いましたが、こういう先生に大学に戻ってきてもらって、憲法を教えてもらったほうがよいのではないかと思ったミラーでありました。