「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかっのか」

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ひさびさの格闘技ねた。

かなり刺激的なタイトルの本です。

木村政彦先生というのは、戦前に全日本選士権3連覇、天覧試合優勝という偉業を成し遂げた、不世出の柔道家です。

ただ、もっと有名なのは、昭和29年に、力道山とプロレスの試合をして負けてしまったことです。格闘技ファンには、「力道山に負けた人」ということで知られてしまっています。木村先生の柔道家としての偉大さがそのためかすんでしまっているのは残念だとミラーは思います。

この本では、たんねんに、戦前から木村先生についていろんな人に取材をして書いています。

今の柔道の正史からは消えてしまった、高専柔道とか、武徳会についても書いてあります。

この本を読んでわかったのは、木村先生の柔道に対する考え方。たんにスポーツとか、競技というのではなく、「殺し合い」としてとらえていたようです。

空手バカ一代」にも、木村対力道山の試合は出てくるのですが、要するに、八百長の話ができていたのを、力道山が破ったということのようです。
この本の著者の増田さんというかたは、もともと、北大で柔道をやっていた方で、柔道家としての木村先生をリスペクトするとともに、柔道を愛しているようです。それゆえに、この試合に臨む前の木村先生の調整不足とか、そういったマイナス面も説明されています。

私がこの本を読んで感じたのは、力道山の周囲を利用してものし上がっていこうという貪欲さ。でも、結局は、木村先生のほうが長生きしました。

柔道の偉大さをしるために多くの人に読んでほしい本であります。