「神々の沈黙」

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ということで、先日へろへろと新聞を読んでいると、心臓移植で有名な和田寿郎先生がお亡くなりになった由。1968年、札幌医大で心臓移植を日本で初めて行われた先生です。

で、改めて読み直したこの本。

吉村昭さんが、海外の事情も含めて心臓移植についてお書きになっています。

私が初めて読んだのは中三のときでした。当時は、なんか和田教授に対して批判的な感じを受けた記憶がありますが、いまとなって読み返してみると、非常に綿密に取材をして客観的に書かれた本だと思いました・・・・。

吉村さんは、戦後まもない時期に結核でいまはなき東大病院の分院に入院されていたそうです。なんか、いまではやらないような術式の手術が当時行われていて、多くの人がそれで命を落としたそうです。それで、医学の進歩の名におけるある種の冒険的な手術に対しては批判的だったのではないかと私は推測しております。

和田教授の心臓移植の後にもいろいろと批判的な言説を発表されたそうです。
それに対して医学者の側から反批判をしたのが、当時、和田教授と同じ大学にいた渡辺淳一さんだったそうですが、実態を知るにつれ、渡辺さんも批判的な立場に移行します・・・・。。

まー、吉村さんの本でもそうですが、和田教授は結構、名誉欲が強い人物として描かれます。しかし、医学の発展のためには、ある程度「だれもやってない新しいことをやろう」ということも必要でしょう。だからといって、命が犠牲になることはあってはなりませんし・・・。難しい問題です。

この手も問題は、医学だけの問題ではないし、法律だけの問題でもないし、宗教とか哲学とかいろいろ関係するので、どの大学でも倫理委員会とかを作っていろいろとやっているようです・・・。

とまれこうまれ和田先生の冥福を祈るとともに、心臓移植のドナーさんと患者さんの冥福をいのりつつ今日はもう寝ます