「尖閣列島」井上清著

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ということで、先日は、日本共産党の見解を紹介したので、今回はそれと反対側の中国寄りの見解を紹介します。

この井上先生という方は、国史がご専門で、長らく京都大学の人文研にいらっしゃった方です。
岩波新書からも日本の歴史に関する本を出していて、高校時代からよく読んでおりました・・・。


まー、もともとは講座派の先生だったと思うのですが、のちには、「文化大革命断固支持」になり、いわゆる中共派の先生になってしまいます・・・。

それが全面開花したのがこの本。

結論は「尖閣諸島は歴史的に見て中国の領土である」というものです・・・・・。

日帝が勝手に侵略したんだから度し難い」ということを主張されています。

一番最初にこの本がでた1972年段階ではまだ説得力があったのかもしれませんが、今日となっては、
「中国のほうがよっぽど侵略しとるやんけ」といわれてしまいます・・・・。

中国共産党は、いまでも、「尖閣諸島については日本でも、井上教授という立派な人が論文を書いていてそれを学習して、日本人民も尖閣諸島が中国の領土であることを認識すべきである」みたいな立場のようです・・・・。

時代的な制約があるから仕方がないといえば仕方がないのですが、井上先生は、「日帝=極悪」、「中共=人民の友、断固支持」みたいなシェーマからみているわけです。

しかし、ウイグルとかチベットを見ると、そういったシェーマが今日的には全く正統性をもたぬことは明らかです・・・・。

左翼として領土問題をどうかんがえるかというのは結構難しい問題です。
単に、国民国家を前提として歴史的に、国際法的に論じればすむ問題ではありません。

真の左翼としては、両国の領土的野望を弾劾するだけではたらないような気がしています・・・・。

中国がもし、社会主義国として一片の左翼的良心があるのであれば(まー、絶対ないだろうけど・・・)、国際法に基づいて領有権を主張するのではなくて、「日本人民の闘いと連帯する」とかそういうことをいうのが真の左翼というものではないでしょうか・・・・・。それができないのであれば、社会主義の看板をおろしたほうがよいと思うミラーであります。