「奇跡の医師」

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ということでお医者さんのことを書いた本。
この本は頓宮先生というお医者さんのことを書いた本です。

頓宮寛先生という方は1884年に香川県小豆島にお生まれになり、当時の東京帝国大学医学部をご卒業後、三井慈善病院や日本医学専門学校(いまの日本医大)教授を経て、上海で開業された方です。福民病院という当時では東洋一の病院だったそうであります。

まー、当時の医学部というと卒業してみんな大学の先生とかおっきい病院の院長とかになる人が多かったのではないでしょうか・・・・。

頓宮先生の同級生もそういうかたが多かったようです。斉藤茂吉先生が同級生だったそうですが、斉藤茂吉もたしか長崎医専の教授をつとめているのでもし、義父の病院を継がなければそういう道もあったのでしょう。

頓宮先生は医者という枠を超えての活動の立派さであります。戦時中の重慶政府との和平交渉みたいなこともやっていたそうです。
また、1932年4月29日の上海天長節爆破事件で、例の尹奉吉氏の爆破事件で、怪我をしてしまった重光公使を治療されたりしたそうです。こういったえらい人の治療だけではなくて、当時日本人としては差別意識のあった中国現地の人々の治療も親身になって行ったそうであります。

翻って顧みすれば、我が国医療は大変危機的な現状にあるような気がします。

なにごとも原点に変えることは大事であります。医療の原点というのは、この本にあるように国籍や信条にかかわらず命を救うことにあると思うのです。
いままで医者の伝記というのはいろいろ読みましたが、頓宮先生ほどそれを大事にした人はいないと思います。医学部の倫理の教科書としてこういった本を使った方がよいと思うと同時に、いろいろ苦労してこの本をお書きになったtestpilot学兄にあらためて敬意を表するものです。

それにくわえて、こういった地道な本を出す光人社という版元に今後とも頑張ってほしいと心から祈念するものであります。