「闘いへの執着」清水一行氏

イメージ 1

ということでたまの小説ネタ・・・・。
清水一行氏というと企業小説の世界では有名な小説家で、昔、雑誌のトップ屋(いまでいうフリーライター的なもの)をされていて大変、筆力がある方です・・・。

で、この本のモデルは実は、●●製パン様の1970年代後半における内紛劇を描いたものです。

ここまで書くと、なんとなくピンと来るかもしれませんが、商法の判例集にも出てくる事件です。

最近、ちっと事情があって取締役の競業避止義務について調べているのですが(いま自分が勤めている会社で問題になっているわけではない・・・)、そのリーディングケースにもなっている●●製パン事件の●●製パンがモデルなのです・・・。

まー、法律的な事件としては、判決文を読むとこういうことなのです。

●●製パンの大株主である社長が、別に製パン会社をつくって関西に進出。配当を受けとったりして儲けた・・・。●●製パン側としては、競業避止義務に違反しているので、損害賠償などを請求して、結局●●製パン側勝訴。

みたいな感じです(ごくおおざっぱに要約しております)

最初判決文だけを読むと、「社長が悪いやんけ」と思うのですが、どうやら背後にはいろんな事情があったようです。

社長が、新たな製パン会社を作ったのは、●●製パンの取締役がみんな関西進出に反対したからで、それで、社長自身がこけたら損害をいっさい被るつもりで自ら個人で出資して会社を作って関西に進出した。
社長が訴えられたのは、●●製パンの子会社化をたくらむ□□製粉の陰謀で、社長を追放しようとしていたみたいな事情が、この小説を読むとあることがわかります・・・。

まー、この小説はオーナー社長側の視点から書かれていますし、だいたい小説なのだからなにからなにまで真実なわけではないでしょうが・・・。

まー、清水氏もそういえば、事件をモデルにした小説と名誉棄損については、リーディングケースを提供されています(「捜査一課長」事件)・・・・)

ということで結論としては、判決のうらにあるいろんな事情を知ると楽しいけど、法律論の勉強には一切ならないということです・・・・。