ジェラルド・カーティス氏「代議士の誕生」

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著者はコロンビア大学の先生で、日本でも活躍されています。
よく、TBSの日曜日の朝にやっている時事放談にゲストとしてでていらっしゃることでも知
られています。

この本は、旧大分二区から出ていた佐藤文生さんという代議士の候補に密着し、どういった選
挙活動をしているかを観察することを通して、日本政治の特質を描きだした名作であります。

旧大分二区というのは、いわゆる平均的な日本の田舎の中選挙区で、佐藤候補も町内会とか歯科医師会とか宗教団体とかを足掛かりに選挙活動していくさまが描かれています。

カーティス氏は投票行動の最大の要因を有権者の共同体意識にもとめているようです。
「まー、○○さんに入れといてくれや」と村の有力者に言われて、候補者についてはよく知らずとも、「村の有力者のいうとおりにしとこう」という気持ちが強く働くということです。
自民党さんの基盤ってこういう地域共同体だったのだなと思います。まー、旧社会党にしても前の例でいう村の有力者が労働組合の幹部に変わっただけで、心性はいっしょだったのかもしれません。

義理と人情が滅んだので、55年体制は滅びたということでしょうか・・・。