伊藤正己先生『裁判官と学者の間』

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図書館でたまたま見つけた本。

伊藤先生は有名な英米法の先生。たしか退官をまたずして最高裁判所判事に任命されたえらい先生であります。

最高裁判所時代は、補足意見や反対意見を多く書いたことでも知られます。靖国合祀事件などは有名です。

この本では前半は、まー、裁判官の仕事はこういったことで学者と違う、みたいなことが書いてあって、後半は先生のお書きになった補足意見、反対意見がまとめられています。

これを読むと、裁判官になっても学者としての意見を曲げずにいたことがわかります。立派なことです。

まー、学者でも最高裁裁判官になると自説をまげる人も多いことはよくしられています。
某刑法の先生は、学者時代は、共謀共同正犯を否定していながら、最高裁裁判官になると共謀共同正犯を肯定する判決を下したと聞いたことがあります。ま-、やっぱり裁判官になると理屈だけではいかない事情がいろいろあるようです・・・。

それはさておき、この本は、憲法を勉強している人や裁判官に興味のある人はぜひよんだほうがよい本であります。



まーここしばらくみているとそんなに激しく反対意見を書く人が少なくなっているような気がしましたが・・・・。
今、学者出身で最高裁にいらっしゃる藤田先生は結構反対意見を書いているようです。立派なことです。

民間出身者は基本的には弁護士の4名だけなわけです。その他は、裁判官、検察官、行政官出身者ばっかりで、学者枠が1名なわけです。どうかんがえても、裁判官、検察官、行政官出身者は体制派なわけです。弁護士出身者もいろいろ弁護士会の力学なんかがはたらくのでそんなに人権を守ろうというような人ばかりではないわけです。

バランスを取る意味でも、学者出身の判事には頑張ってほしいものです・・・。