「効を奏する」

ということで漢字ネタ・・・。

よく、「効を奏する」っていうのは、正しくは、「功を奏する」だといって、そう書く人が多いような気がします。
そもそも故事成語の成り立ちは、功績を天子に奏上する意味からきているので、「効を奏する」というのは間違いだとはっきり断言している辞書もあるようです。

ただ、法律用語としてはどうなのでしょうか。よく、奏効とか奏功ということばを使いますが、それも、奏功が正しいのかなどいろいろ気になります(多くの人は気にならんと思いますが・・・)。

昔、これについては、調べたことがあって、実はミラーの結論としては、「効を奏する」というのは、法律用語としては十分正しいのです。
根拠をあげます。
六法をお手元にお持ちの方(そんな人はあんまりいねーだろうな)は、手形法の43条をみてください。

まー、六法がない人向けに、一応あげておきます。

「第四十三条
 満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得左ノ場合ニ於テハ満期前ト雖モ亦同ジ
一 引受ノ全部又ハ一部ノ拒絶アリタルトキ
二 引受ヲ為シタル若ハ為サザル支払人ガ破産手続開始ノ決定ヲ受ケタル場合、其ノ支払停止ノ場合又ハ其ノ財産ニ対スル強制執行ガ効ヲ奏セザル場合」

そうなんですよ、手形法には、はっきりと「効ヲ奏セザル場合」とあります。「奏サザル」じゃねーかと思ったあなた。「奏す」はサ行変格活用なので未然形-せ、連用形-し、終止形-す、連体形-する、已然形-すれ、命令形-せよ で、助動詞の「ず」っていうのは、未然形接続なので、「奏
セザル」でいいわけです。

まー、よっぽど暇な人を除いてほぼ関係ないわけです。

んでっ、もし、書きとりの試験で「効を奏する」って書いて不正解になったら、六法全書片手に、上のように「法律用語なんだ」と説得してあげてください・・・。