追悼、大内力先生。

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ということで、先日4月18日大内力先生が亡くなられた。
90歳というご長寿であった。

大内先生といえば、当然私が大学にはいったころにはすでに引退されて
いるが、著作を通じかなり立派な先生であることは承知をしていた。
農業論とか協同組合論とかに業績もあるが、わたしが読んだ中で一番
シャープだなと思ったのは日本経済論。
本郷の古本屋で一冊100円で売っていたのをかって勉強をした記憶が
ある。宇野先生ってあんまり国家独占資本主義っていわないというイメ
ージがあるが、大内力先生は国家独占資本主義というのを正面から論じ
ているイメージがあった(たしかそのものズバリそういうタイトルの本も
出されていた)。

学内行政でも偉大な業績を残され、東大紛争のときには、経済学部長を
務められているのである。



ということで、図書館で「埋火」という先生の回想録を読んできて、よ
んだのである。

大内先生からすると先輩筋にあたる向坂逸郎教授と宇野弘蔵先生の人間
関係みたいな話がずっと書かれてあって結構今読むと面白い。

この本の中に「宇野先生がソ連に反対したから、向坂先生はソ連断固支
持になった」みたいなこともかかれてあって、どうやら、学問的対立以
前に人間的対立があったのではないかということを推測させる・・・。

大塚久雄先生が高橋幸八郎教授を破門したという事件も、大内先生は「理
論的な違いとかなんとかというよりは酒飲みが嫌いだったということだと
いうのがぼくの感じです」と語られている。大塚久雄先生は酒をのまんか
ったらしい。

わたしなどは、一発で破門・絶縁されるだろう。経済学者にならなくてよ
かったと思う。

大内先生の大学紛争に関する総括は「大学紛争の結果は、結局大学が幼稚
園化したということだった。また、学問とか研究とかということに何の経
験もなく、いわんや見識などありようもない官僚や政治家が大学をメチャ
クチャにする道を開いたということだった」。

いまの私たちにとっては、思いあたる節の多い言葉である。