士業の情報公開(前々回の続き)

前々回の続きとして、いかにしても書いておかねばならないことがある。
弁護士や司法書士を頼む場合、一番基本条件となるのが、「悪さをしないこと」である。たとえば、預けた金をちょろまかされたり、事件をわざとほっとかれたりしては目もあてられない。

弁護士会は、そういった弁護士に対して懲戒をしている。ただ、それについて、公開は、官報と日弁連の機関誌である「自由と正義」に載っているだけである。自由と正義なんて、普通の人が買おうと思っても、まず手にはいらない(裁判所や弁護士会館の地下の本屋とかだったら売ってるんだろうけど・・・)。しかも、それだって要旨しか書いてない。

相当、極悪非道なことをやっている弁護士がいるわけである。ぜひ、弁護士会のホームページで公開してほしい。
たとえば、しばらく業務停止になったりする弁護士がいるが、そういった弁護士の場合、損失を取り返そうとまた横領したり、まともな依頼先がないので、やくざと手をくんだり、また再び懲戒になる場合が多いような気がする。懲戒されていることをしっていれば、被害にあわなかった依頼者も多いはずである。

あまり、積極的に公開しない理由として「ささいなことで戒告とかになった人の名前がどんどんでると、それは気の毒」という意見があるようである。

私の以前お世話になったある弁護士も何年か前に戒告処分を受けられたのである。その先生は、人格的にも大変立派で、悪いことをして儲けるみたいなことにはまったく無縁な人なのである。弁護しているのも、まーお金のないような人が多いのである。思想的にも大変立派な方で、懲戒になったといううわさを聞いて、「なにをしたんだろうか」、「思想弾圧ではないだろうか」と自由と正義の公告を見てみると、依頼者への説明が若干足らず誤解を生んでしまったことが原因の事件なのであった。詳しくは書かないが、弁護士は、依頼者(たしか、交通事故の被害者の遺族)のために、自賠責の保険金を保険会社からちゃんととり、あと、加害者からは、過失相殺の関係で、賠償をとれないと合理的に判断し、訴訟などを起こさなかったのである。まったく、客観的には、依頼者の権利は害していないのだが、依頼者のほうは、別に金がとれなくてもとことん加害者の責任を追及してほしかったようでトラブルになった事案なのである。弁護士としては、保険金もちゃんととれたし、勝つ見込のない訴訟をやってもそれは結局遺族のためにならないと思って訴訟をしなかったようなのだが、遺族としては、そう思ってなかったということだ。遺族の心情はわかるが、弁護士の合理的な判断もわかるのである。しかし、弁護士会は、「事件解決の方針についてちゃんと遺族に説明すべきであった」という理由で処分されたのである。でも、当然一番軽い「戒告」なのである。
もしこういった戒告になった事件が公表されても、別段、その弁護士の名誉が害されるわけではないだろう。むしろ、私などはちゃんと合理的に判断してくれるんだなと好感をもつ。

たしかに戒告となる事案には、「セクハラ」とか「依頼者に暴言」とか、弁護士である前に人としていかがなものかという事案もある。そういった人の事務所に依頼するお客様が減ってもそれはそれで自業自得としかいいようがない。

判断の材料として、懲戒処分に簡単に市民がアクセスできるようにしてほしいのである。