火事と喧嘩は江戸の華

知り合いのある企業の広報担当者から聞いた話。
その知り合いを仮にQさんとする。
Qさんの会社は上場企業。だから、リリースを東京証券取引所の3階
にある兜倶楽部という記者クラブに投函しなければならない。わたし
も以前広報担当だったのでやったことがあるが、新聞社別にタナがあ
ってそこに枚数分リリースをまさに「投げ込む」のである。
日経11部とか共同通信5部とか、なんかそういった枚数のきまりが
あるのである(細かい枚数は忘れたので再現不十分)。
よく、決算の発表の時期になるとテレビに映ったりするので見たこと
のある人もおおいであろう。

混んでるときは混んでるので行列をしてみんな待つ。当然ならんでい
る人は上場企業や証券会社の広報担当者であるから、少々時間がかか
っても静かに待つのである。当然、私も静かに行列にならぶことを常
態としていた。

ところがそのQさんは異なことに遭遇したのである。
ある日Qさんが行列にならんだところ、前の方で言い争う声が聞こえ
たそうである。

「割り込みはやめてください」
「お前列からはずれとったやないか」
「通路をあけるために、こっちにいただけで、列から外れていたわけ
やじゃない」
「うるせー。知るか」
「▼※×〒●☆」
「○ψ◆±§±」

という喧嘩がおっぱじまったらしい。
まー。要するに場末のラーメン屋のまえで、あんちゃん同士が行列を
めぐって喧嘩しているのと同様の事態なのである。

なさけない話である。日本を代表する会社の社員が、取引所の中で喧
嘩をしているわけだる。ちなみにQさんは「殴り合いにならないかな」
と興味津津でみたいたらしい。さすがにそこまではいかなかったら
しい。
Q氏はちゃんとその会社の名前を確かめたらしい。

「いやーだから○○○○株式会社と××××株式会社はあほばっかり
でっせ」。
別にこれは、金融商品取引法のインサイダー情報ではないと思うので
ここで書いてもよいが、さすがに気の毒なので会社名はかけないが・
・・。

まあー。そこまで、聞いて、喧嘩するほうの気持ちもわかるなと思った。
だいたい、最近は景気の悪いリリースが多い。
たとえば、「債権の取立不能又は取立遅延のおそれについて」とか、
「業績予想の修正について」とか「配当予想の修正について」とかい
うリリースが多いのである。わかりよく翻訳すると、
「取引先がぶっつぶれて、とりっぱぐれが○億円生じましたがなー。
あー。どないしょ」とか「まー、いろいろあって、業績が悪いから、
最初は利益が○億言うとったけど、今期は赤字になるでごわんす。ゆ
るしてたもれ」とか「業績が悪いから配当はないと思ってくんなまし。」
といったリリースなのである。
配るほうの気にもなってほしい。
当然、そういったリリースを出すと、株主のみなさまから
「配当ちゃんと出さんかい」「お前んとこの株を買うて大損や」とい
う電話がじゃんじゃんかかってくるのである。いろいろいいわけして
も「ごめんですんだら金融庁証券取引等監視委員会もいらんのじゃ」
といわれる。あー。そりゃー。喧嘩したくもなるわなと思う。

早く景気がよくなってくれたらしょうもない喧嘩も減るのであるが・
・・。