あー 日本漢字能力検定協会。

ということで、本日つれづれなるままに、週刊朝日をよんでいたので
ある。なにやらゆかしいタイトルがあったのでつい読みいってしまっ
た。そのタイトルは「270万人を食い物にする「漢検」長者の正体
」というものなのである。

要するに、①公益法人たる財団法人である日本漢字能力検定協会が2
0億円もの利益を出している。②そのうえ、理事長のファミリー企業
と取引し、金が流れている、公私混同である。
という記事なのである。

たしかに、公益法人たるもの、②の点については是正をしなければな
らない。公益法人というのは、たとえ収益事業をいとなんでも、株式
会社より軽減税率が適用されているのである。たとえ、国から補助金
をもらっていなくても、税金が安い部分は補助金が出ているのと同じ
である。週刊朝日のいうとおり、②についてはただちに是正すべきな
いのである。

ただ、①については、利益を出してはいけないということはただしい
としてもそのあとの道はいろいろあると私は思う。

利益というのは、収益から費用を引いたものなのである。
収益というのは、営業収益(≒売上)+営業外収益+特別利益なのであ
るから、通常でいうと売上が伸びれば(費用がそれ以上伸びなければ)
、利益はあがることになる。
ごくごくおおざっぱにいうと、利益が多くてよくないんだったら、①
売上を減らす、②費用を増やす という2つの道しかない。
この週刊朝日の記事のように書くと「儲け過ぎはよくない」というこ
とになるので、「公益法人というのは、あまり売上をあげず、収支ト
ントン」というのが理想像だと、世間一般に思われると、それは、公
益法人制度の趣旨を没却するものだと思うものである。
上の費用を増やすという典型的な発想は、虎ノ門あたりにある、どこ
かから、補助金とか会費とかが入ってきて、高額な報酬を官庁OBに
払い、ほぼなにもしないという法人である。こういった残念ながらこ
んな法人ばかりでは公益を実現できない。

ぜひ、漢字能力検定協会には、売上を減らすという縮小均衡的発想に
立たず、支出を増やしてほしいのである。といって、土地をかったり
、役員に法外な報酬をはらったりということではない。
漢字文化の振興のために金を使ってほしいのである。
いまも漢字というものをしっかりと研究している学者はいるはずである。
諸橋先生や、白川先生の後継者がいるはずである。そういった人は、なか
なか研究費にもめぐまれず難儀しているかもしれない。しかし、我が国の
文化を支える漢字を研究しているのである。そういった研究を助成するこ
とも大切であろう。
また、漢字は中国にも、韓国にも共通のものである。ぜひ、漢字文化圏
体で、漢字の研究、振興といったものを、やってほしいものである。そう
いった漢字の振興のためであれば、少々検定料が高くともだれも文句をい
わないのではないか(ただ、ちゃんと経費削減はやってほしい、受験料も下
げたほうがよいとは思う)。

たんなる検定屋ではなくて、公益というものはなにか、ということをしっか
りと考えてほしいと切に願うものである。