司法協会と事業仕分け

ということで、いま帰ってきてテレビジョンをみているのですが、今日も事業仕分けがあったようです。

今日やりだまにあがったのは「司法協会」さんです。
ひさびさに見ていて腹がたったので弁護論をものするものであります。

まー、今日の事業仕分けでは、「司法協会=裁判所内でのコピーを請け負い、1枚50円で高い・・・。それは、みんな裁判所から再就職した人を雇うから」みたいな論調なのです。
しかし、それでいいんでしょうか。
だいたい裁判所のなかでコピーをとるわけですから、ただたんにコピーをとるにしてもちゃんとした人でないとこまるわけです。しかも、事業仕分けではまったく触れられていないのでですが、司法協会さんは、執行・破産事務補助とか録音反訳とか裁判所を支える仕事をしているわけです。そもそも書記官事務に必要な出版事業もやっています(逆にその部分は法曹会とかに統合しろといわれないか不安・・・。)

とうてい民間には出せない仕事なのです。

理事長さんは裁判官OBですが、今日、テレビに出ていた専務理事さんも常務理事さんも書記官OBのようです。(専務理事さんは書記官を経て簡裁の判事をやられているようです)。日本の裁判所の書記官さんというのは、間違いなく世界一清く正しく向学の念にあふれた方々なのであります。
こういう人たちが実は日本の司法を支えているわけです。

そういえば、昔、仕事の関係で、裁判所の書記官のOBの人の話を聞いたことがあります。その方がいうには、裁判所にとっていろいろ痛恨事が歴史上あって、樺太ソ連に占領されるとき、裁判の記録をちゃんともってこれなくて、樺太で死刑判決を受けた人が戦後、北海道で釈放されてしまったそうです・・・。その書記官OBがいうには、「自分だったらソ連に銃をつきつけられても守った」といっていました。

当然、隣国がせめてきたり、テロがあると、裁判所も占領されるかもしれません。いま裁判所のなかで働いている司法協会に雇われた書記官OBの人は当然、身命をとして裁判記録を守るでしょうが民間の派遣社員だったら逃げ出すでしょう・・・。

裁判記録がなくなると、当然、有罪判決を受けた人に対しても刑を執行できません。民事でも、また訴訟のやり直しになるかもしれません。ひょっとしたら一事不再理で、もう一回裁判もできないのかもしれません。みんな借金の回収はできず、町に犯罪者があふれます。そうならないようにいままで裁判所の人たちは記録を守ってきたわけです。震災の時も戦争のときも。それを命をかけて守ろうという人に対して、50円だろうが100円だろうが、安いような気がします。