あー。TAC

ということで我らがTAC(東証1部上場)の株価があがっているようである。すばらしいことだ。
どうやら、TACさんはかなり業績がよいようなのである。

TACのよいところって、自分の強みに特化しようという考え方があるところ。司法試験とか一時やろうとしていたが、すぐに撤退してしまった。それが正解だろう。マーケティングの世界でよくいわれることだが、世間に名前を知られるのは商品のカテゴリーでNO1、せいぜいNO2まで。
だいたい、世界に二番目に高い山とか、神武天皇の次の第二代天皇とかの名前をすらすら言える人は、相対的に少ないわけです。3番目になるとさらにその傾向は高まる。

ようするに、ちっさいところはどんどんと加速度的に淘汰されていく危険性が高い。

TACの商品ラインアップとしてはたとえば、公認会計士とか、税理士、簿記、診断士、いずれもNO3までには入っている。
違うカテゴリーに出て、しんどい戦いをするという戦略をとっていないわけです。株式会社として上記のような会計系の講座を大々的にやりだしたのは、TACが初ですから先行者メリットを享受できるのです。そのあと参入しようとしてもしんどい。

自分のビジネスについてカテゴリーをたて、そこでは圧倒的な競争力をもつという戦略なのだろう。

たとえば、昔、八重洲ビジネススクール的なものをやろうとしたことがあったと記憶しているが、グロービスなど先行においつけないとなると、さっさと撤退している。司法試験もしかり、すぐ撤退した。

よくある間違いで、自社のブランドが他の領域でも通用してしまうと自分では思ってしまうということがある。業界で典型例がベネッセ。昔、ベネッセが行政書士とかの通信講座をやっていたが、全然失敗した。理由は簡単。小学生、中学生、高校生向けの世界ではブランド力があるが、資格をとろうという大学生、社会人に対しては、そのブランドが逆に作用する。「難しい資格試験の教材を、国語や算数の教材の会社に作れるんだろうか」と思う。
逆もしかり。LECが仮に高校生向けの学参を作ったとしても、「司法試験みたいに、むずかしい法律用語が出てくるんではないだろうか」と高校生はおもうか、ないし、「LECなんて聞いたことがない」という反応。

だいたい、違う業界に参入しようと思ってもそこにはなんか先行者がいるはず。青い海だと思っておよいだら、血塗られた赤い海だったということもあるだろう。
最近、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海)」を切り開くべきだと説くブルー・オーシャン戦略というのがはやりだが、資格業界にとってブルー・オーシャンはどこなんだろうか。

LECって考えようによってはブルー・オーシャン戦略を目指していたのかもしれない。委託訓練とか株式会社大学とか保育園とかまー、要するに官業の民間開放という海だったわけ。たしかに、いい海なんだけど、鮫がいっぱい泳いでいたり、いつのまにか干上がって陸地になっちゃったり、サルガッソーみたいな魔の三角地帯だったり・・(後略)。もっと手じかにいい海があるような気がする。