動物農場

【注意事項
本文章には、上記のタイトルの映画、及び小説の核心的なストーリー
が紹介されています。以下の文章を読んだので、ネタばれしたやんけ
ということのないように、新鮮な気持ちで映画や小説を鑑賞したいか
たには、読むことをお勧めしません】

ということで、世間は冬休みなのである。しかし、私は今日まで仕事
だった。いつものように朝5時ころ起きて(とくに早起きというわけで
はまったくなく、11時ころには寝てしまっているので、自動的に目
がさめるのである)テレビをつけると、いつものニュースはやっておら
ず、なんか、映画の紹介番組を4チャンネルでやっていたのである。

ジョージ・オーウェル原作の「動物農場」のアニメ版が渋谷の映画館
で上映されていることをしったのである。
動物農場というと、ゲームの「どうぶつの森」のような、牧歌的な映
画かと思った人もいるかもしれないが、そうではないのである。

牧場主の激しい収奪にされされている農場の動物たちが団結し、人間
の牧場主を追い出す。その後、動物たちで自主管理を行う。最初はみ
んな平等で、いきいきと働いていたのだが、だんだんと、豚に権力が
集中する。しまいには、ある豚が独裁者になってしまうという物語な
のである。
原作は、たしか、1945年に刊行されたのである。
オーウェルはなにをいわんとしているかというと、当時のソ連邦のス
ターリンが革命を簒奪していった過程を比喩的に描き出し、スターリ
ン主義の反労働者性を描きだしたのである。
一般には、「反ソ反共」あるいは「反全体主義」の映画として理解さ
れているようである。今回上映されているアニメ映画になったのも1
954年であって、そうとうアメリカ政府の支援もあったという話も
聞いたことがあるのである。

なにはさておき、今日は、無事、大納会がおわるやいなや(よく考える
と今年の相場は無事ではなかったのであるが・・・)あいさつもそこそ
こに会社を出たのである。渋谷の町をあるき、映画館へ。かなり渋め
の作品のみを扱っている映画館らしく、こじんまりして好感がもてる
。まわりをみるとアベック率は、低く、アニメ好きらしい若者が多い
のであった。上記のように政治的主張を含む映画なので、もうちっと
活動家的な人もいるかとおもいきやそうでもない。
当然、会社帰りのスーツを着たサラリーマンなどはわたくしだけなの
で周囲からうろんな目で見られたのである。

実際映画をみてみると、「これが、スターリン役の豚だな」とか「こ
の商人はアメリカだろうか」とかいろいろ考えさせられたのである。
トロツキーらしき豚が、スターリンの策略で追放されたときには、涙
してしまったのである。

それにしてもすべての豚がすごく悪人顔に描かれていて、やっぱり
冷戦時代のアメリカとしては、ソ連の指導者を悪人として描きだしたか
ったのかなと思ったのである。だいたい、スターリン=豚 というのが、
悪意にみちた感じがするのだが、せめて牛とか、馬にしてほしかったのだが。


でも気になるのは、なぜ、いまこの映画の上映がされるのだろうか。
映画の公式サイトを読むと、上映側はいまの格差社会という問題意識
から上映をしているようにもうかがえる。そうすると、もっと、左側
がちゃんと宣伝せんといかんのかなとも思うが・・・。
作った当時からすると完全に反ソの映画だったのだが・・・。
考えようによっては、権力はかならず腐敗するというかなりアナキス
ト的な主張にも思えるし・・・。
革命なんかやっても無駄だ、いまの体制でいいんだという現状肯定ヘ
ーゲル主義的な映画のような気もするし。
やっぱり、映画からどんなメッセージを読み取るかは、観客の自由な
のだろうか。あたくしとしては、反帝反スターリン主義の映画と解し
たのである。映画における「裏切られた革命」という感じであった。