総長選。

ということで本日の更新。

本日は、うれしいことがあった。私が大学時代に直接教えをうけた先生が母校の総長予定者に選出されたのである。
情報法政策を専攻される濱田純一先生である。科目の特殊性ゆえ、学部生向けの講義はなく、私は、当時の社会情報研究所研究生として先生の教えを受けた記憶がある。
先生は、もともと憲法小林直樹先生の教えをうけていたので、憲法しかもかなり原理論的なことから(もともと小林先生は法哲学専攻だったのである)、放送事業者の規制とか、通信の規制緩和といった最先端のITにまつわる分野まで深く研究をされており、学問的にも人格的にも尊敬すべき方であった記憶がある。

いままでのT大学の総長というと、大きい(力のある)学部の学部長(大学院の研究科長)→副学長(その昔は総長特別補佐)→総長という流れがあった。
学部も教育とか薬とか戦後派の小さい学部はまだ総長を輩出していないのである。
しかし、濱田先生は、社会情報研究所長、大学院情報学環長・学際情報学府長という、学内では、歴史も浅く、人数も工学部などに比べては少ない部局の長から総長になられたのである。時代の変化を感じるのは私だけであろうか。
この大学院情報学環・学際情報学府というのは2000年にできたらしい。ごくごく新しいのである。いわば、21世紀のT大の目玉なのである。学内でもそういった新しい改革の機運が高まっているのかもしれない。
もうひとつ先生が票を集められた原因としては、理事・副学長としての活躍があるのではないだろうか。
先生は、理事としては広報を担当されており、不祥事があるたびに記者会見などマスコミ対応にあたっておられるのである。大変だと思う。先日も、農学部の農場が禁止されている農薬を使ったというあるまじき事件があって、会見で深ぶかと謝罪をされている姿をテレビで拝見したばかりである。そういった誠実な姿勢が評価されたのであろう。いままでのたこつぼ行政的な研究スタイルから、まさに学際的な総合大学へわが母校が発展するのであればそれにまさるよろこびはない。

ただ、1点ほど多少懸念がある。
ひとつは、産学連携が重視されるあまり、基礎的な研究がおろかにされることがあってはいけないということである。たとえば法学部であれば、ローマ法とか法哲学というのは、やはり必要な学問なのである
それを研究することにより現在の法解釈も豊かになるのである。しかし、ここでわたくしがこんなことを書かなくとも濱田先生が一番それはご存じであろう。最先端のITにまつわる法制度をかたるにも、ローマから説き起こすのが法学なのかもしれない。
先生にはぜひとも、総長として、よりよい大学をめざして邁進してほしいと思うのである。